

映画感想文〜「二十四の瞳」(1954年)
※2020年7月4日にある映画サイトに投稿 「二十四の瞳」(1954年) タネアカシあり この映画、終戦直後に作られたと思い込んでいたが、公開は1954年、あの「七人の侍」と同じ年である。キネマ旬報社の邦画部門では「二十四の瞳」がベストワン、「七人の侍」がなんと確か三位か四位だという・・・。たいへんな時代があったものだ。 初めて見たときは、大石先生があまりにも無力なことにイラつきましたね。結局、生徒と一緒に泣いて、家で旦那相手に愚痴ることくらいしか出来ないのですな。戦争を止めることはおろか、生徒の人生にいかなる肯定的変化も与えることができない。 今では、そういう偉そうなことを言う気は失せ、人生、こんなふうに親身になってくれる人がいれば、それで十分ではないかと。いくつもの場面で涙が出たが、やはり、ラストの同窓会。この高名なラストシーンに泣かない人はいないだろう。 「二十四の瞳」は小学唱歌でつづる、一種の音楽映画でもありますね。いろんな唱歌をじっくりと聞かせてくれる。大石先生と子供たちが入り江を舟で渡るシーンなど、ある唱歌をフルコーラス歌わせていたと


【再掲】もし映画「鉄道員(ぽっぽや)」が懐かしいドリフのコントだったら・・・
この映画、見ていて恥ずかしいような気分になり、見るのをやめそうになったが、昔懐かしドリフのコントだと思って楽しめばよかったのかもしれない。 「もし、高倉健が田舎駅の駅長だったら」 みたいにコメディの題材として、映画そっちのけで、あれこれ想像して楽しむのである。 何かミスをするたびに「不器用ですから」と言って遠い目をするとか、いきなり感情的になって「死んでもらいます」と叫び懐から算盤を出す・・・とかその類のギャグ。要は大時代な演技をする役者に小市民の役をやらせた時のギャップを笑うわけ。 最後は雪の中で死んでいるケンさんを部下が見つけて「やれやれ」という顔をした後、雪かきを続けるふりをして、高倉健駅長を再び埋めなおすのである。 傍迷惑なのですな、小市民としては、重すぎて(笑) これはケンさんのせいではなく、企画と原作が悪いのだ。 こういうコントは幾らでもできるし、考えていると楽しい。例えば、 「片岡千恵蔵がセヴンイレブンの店員だったら」(古いか!)「田中邦衛が話し方教室の先生だったら」 とか、あるいは 「西田敏行がぼったくりバーの呼び込みだったら」


【再掲】木下恵介の「陸軍」(1944年)のラストシーン ※タネアカシそのもの
木下恵介の「陸軍」。1944年の公開だから、ちょうど80年前の映画である。日本映画だし、公表から70年以上が経過しているから、チャップリン協会やディズニーがなんと言おうと、日本の法律に則りパブリックドメイン入りしたとみなす。(笑) このシーンは、戦時中、九州の連隊が実際に出征する機会を利用して撮影 された。(ここに写っている兵士の大半は戦死したのだそうだ。) しかし、陸軍の全面協力を得て制作した映画で、こういうラストシーンを作るとは! 息子の出征をあからさまに嘆いている田中絹代は、明らかに周りから浮いているのである。周りにいるのはエキストラでなく、出征兵士に歓呼の声をあげる本物の群衆のようなのだ。演出したシーンを実写と繋げた可能性はなきにしもあらずだが、おそらく、 田中絹代は、あの時代の現実の中で、ホンモノの「空気読まないやつ」 になっているのである。 この映像を見たのは随分前の事だが、「日本にこんな映画監督がいたのか」と感動した。しかし、考えてみると、この母親は何も出来ずにただただ嘆いているだけの無力の人で、これは、木下監督が戦後に作った「二十


【再掲】私が見ていない名作映画10選
1. 雨月物語 ACTミニシアターで見始めたが、オールナイトだったので途中で寝てしまった。溝口健二の良さがわからない。「近松物語」と「西鶴一代女」は面白いとおもったが、「山椒大夫」などは傾向映画みたいだ。あれ、確か森鴎外の原作では、山椒大夫一族は生き延びてますます繁栄するのである。 2. 戦場のメリークリスマス ビートたけしが「メリークリスマス、ミスターローレンス」と言ってニッコリする顔を予告か何かで見て、ダーとなって見る気を無くした。「夜の熱気の中で」のロッド・スタイガーのラストの笑顔を見るとなおさらそう思う。プロと素人の差。 3. 総長賭博 「三島由紀夫が褒めた」という事で名作とされている任侠映画。小林信彦と脚本の笠原和夫の解説を読んで見た気になっている。ヤクザ映画は好きなので、見ていないのは、行きつけのビデオレンタルショップに偶々置いてなかったからだと思う。ビデオレンタル、そんなものが昔あったのだ。 4. 神々の深き欲望 おそらく題名に恐れをなして見なかったのだろう。近親相姦を扱った映画らしい。今村昌平の映画は、「日本昆虫記」なども見て


【再掲】ラジオドラマ「佐八のはなし」(黒澤明「赤ひげ」より
黒澤映画「赤ひげ」の「佐八とおなか」のエピソード、山崎努の語りがあまりに見事なので、音声だけ切り取ってラジオドラマにしてみた。 一種の実験・・・というかお遊びだが、 映像抜きのラジオドラマとして十分、成立している と思う。といっても、自分は映画を何度も見ているので、音を聞くと反射的に絵が浮かんてくる。もし、映画を見ていない方で、この「ラジオドラマ」を聞いた方がいれば、意見を聞かせて欲しい。背景情報なども、聞いているうちに理解できましたでしょうか? いろんな面でお金がかかった贅沢なラジオドラマである。特に感じたのは、俳優の語り口が、声優のそれよりも、聞くものの耳に自然に入ってきやすいと言うこと。プロの声優の語りも味があって好きなのだが、やはり、 デフォルメの仕方に独特の癖があり、邪魔に感じることがある 。翻訳物だと、元々が別世界の異人の話しだから気にならないのだが・・・。 俳優の声を取り出しきた場合、演技という体の動きとセットで出てくる声だから、自然に聞こえるのかもしれない。アフレコだろうと言われそうだが、 要は、俳優は、その演技、体の動きに応じた


ジョン・フォードの「ギデオンの一日」(映画感想文、批評ではない、念の為)
◇ギデオンの一日(1958年) ※タネアカシ少しあり でも鑑賞に問題はないかも YouTube に上がっていたので見てみた。なかなかいい映画ですな。西部劇の巨匠・ジョン・フォードが、スコットランドヤードの警視ギデオンの、公私にわたって多忙な一日を、悠揚迫らぬペースでユーモラスに描いている。 想像したようなリアルな警察映画では無いのだが、次々と発生する事件を淡々と処理していく、 典型的英国紳士のギデオンが、時々、感情を爆発させる、それが、ごく控えめに感動的である。 ※以下、スポイラーアラート。 精神病者に娘を殺される母親のエピソードには涙が出た。あの母親役の女優の優れた演技は、我々の周囲にいる人の良い中年女性の誰かを想起させる力があった。(私が思い浮かべたのは、自分の奥さん) だから、自らの善意が最愛の娘を殺す結果になった彼女の悲嘆が胸に迫るのである。 結局のところ、作り物にすぎない俳優の演技が、時に我々の心を打つのは、我々が現実に触れ合った人たちの何かを想起させるからだろう。少なくとも、リアリズムの演技においては、そう言えると思う。 ラストも良


【再掲】アニメ版「動物農場」(1954)の予告編〜ジブリ配給!全体主義批判の名作のアニメ化
※2024年7月21日に別サイト(アジア日誌)に投稿 ジョージ・オーエルの共産主義批判の寓話「動物農場」のアニメ版。なかなか良くできている。エンドマークの後どうなるかが知りたいが、おそらく理想主義的なロバは、革命を防衛するためにロベス・ピエールのような恐怖政治を敷くのだろうな。 オーエルの原作は、受験勉強の対訳リーダーで読んだような気がする。アニメで見返すと、子犬の頃に親から離して思想教育した犬を忠実無比な親衛隊に仕立て上げるなど、黒豚の独裁者ナポレオンがやった事は、まさに、後年、カンボジアでポルポト派がやった事であり、その先見性は薄気味が悪くなるほどだ。(直接のモデルはソ連なのだろうが。あるいはヒトラーユーゲントかもしれない) アニメは原作をかなり脚色していて、一応、勧善懲悪の結末にしてはいるが、独裁者が倒れても希望が見えてくるわけでなし、なんとなく、見せ物小屋映画「フリークス」のラストを連想させる。虐げられた者が復讐を果たすカタルシスはあるが、根本的な解決方法はなく、この後の歴史においても、同じような独裁者の出現と独裁者への復讐劇が繰り返され


【再掲】ゴッドファーザー謎の効果音〜トリビア考察のための引用二つ
クリスマスにちなんで再投稿。名作「ゴッドファーザー」のドン・コルレオーネ暗殺未遂シーン、あれは、クリスマスの日の出来事なんですね。引用の二つ目がそのシーン。一つ目は、重傷を負ったドンをマイケルが病院に見舞う場面。 この Tonight, Tonight, Tonight...という不吉な人声、 壊れたレコードか何かの映画の実音なのか、それとも、マイケルの内心の不安を表す効果音なのか? ・・・どちらにしても効果は同じなのだが、ずっと気になっている。もっと気になるのは、 この Tonight が、実際にヒットした曲の一部なのか、映画用に作った音楽の切れ端なのか 、という疑問である。映画の設定は第二次大戦終結の年だから、1945年から2、3年遡ってビルボードのサイトでヒット曲を調べたが、ピッタリくるものが見つからない。 ゴットファーザーは、いうまでもなく、世界中にファンがいる名作映画だから、重箱の隅を突いて突いて突き回すトレビアサイトがいくつもあり、自分と同じ疑問を持った人もいるはずなのだが、その手のファンサイトで探しても回答がみつからないのである。ま










