

【再掲】トニー・ベネットが歌うチャップリンの「モダンタイムス」のテーマ
トニー・ベネットの命日、2023年7月21日に投稿。 ※映像はべネットのVevo公式ページから。 2023年87月21日。名歌手、トニー・ベネットが亡くなった。96歳。 ちょい若めの奥さんの協力で、充実した最晩年を送ったと思いたい。映像は2010年のものだから、83歳の時だ。衰えない声量に驚かされる。ちょうど、トムジョーンズが今、そのくらいの年齢ではないか。トム、頑張ってくれ!サー! べネットは公民権運動の支持者でもあり、ハリー・ベラフォンテに乞われて、歴史的なセルマ・マーチにも参加している。後年開かれた記念行事で、べネットは、行進に参加後、自分を空港に送ってくれた参加者が、その帰路に、KKK団に射殺されたと語っている。 ライブエイドに参加するのとはわけが違うようだ。ジョン・バエズは、「公民権運動に、アーティストたちは、キャリアを失うリスクを犯して参加した。ライブエンドでは、アーティストたちは、参加しないことにキャリアを失うリスクがあった」と話している。 第二次大戦の従軍経験のあるベネットは、イタリア系マイナリティとして戦場で様々な差別を受けたと


【再掲】チャップリンに関する感想文
◇「殺人狂時代」(1947年) タネアカシあり 私の中でのチャップリンの最高傑作。殺人を繰り返しても悔悟しない映画の主人公は今でこそ珍しくないが、当時この映画がアメリカ社会に与えた衝撃は推して知るべしだろう。チャップリンは、この映画を直接の原因として赤狩りの対象となったと記憶する。 「独裁者」がヒトラー批判、ファシズム批判であるのに対して、この映画はアメリカにとっての「良い戦争」(第二次世界大戦)まで根こそぎ 否定しようとしたのだから(一人殺せば殺人者、100万人殺せば英雄となる)、危険分子とみなされないはずはないのである。 人殺しをビジネスにしてまで守ろうとした家族を失った後の、返ってさばさばしたような、しかし、おそろしく冷え冷えとしたあのチャップリンの表情!そして、教誨師の「悔い改め」の誘いをキッパリと拒否して死刑台に引かれていくチャップリンの少し揺れる映像に、心底驚き、「こんなところまで映画で描いていいものか」と思ったものだ。 ではでは ◇街の灯の残酷なラストと淀川長治 ※ タネアカシあり。ラストシーンについての話なので、チャップリンの代表


【再掲】「幸福の黄色いハンカチ」(1978) 映画感想文
※なぜかチャップリンの「殺人狂時代」のタネアカシあり。 「幸福の黄色いハンカチ」は好きな映画。 キャスティングで圧倒的にコールド勝ちした映画 と言っていいのではないか。 先ごろ、井上尚弥とノニト・ドネアとの再戦が「13ラウンドからの戦い」として話題になったが、我々は、 映画の冒頭、主人公・島勇作が登場した時、既に12ラウンドを見終わっていた のだ。高倉健のヤクザ映画のヒーローとしての前半生が、網走の刑務所から出所した、この九州出身の主人公(そういえば高倉健も九州出身だ)の前半生と完璧に重なりあったからである。 映画の演出がキャスティングから始まるとしたら、これほど効果的な演出はないだろう。この後、観客は、映画の主人公と俳優・高倉健の人生の再チャレンジを固唾を呑んで見守るだけなのである。 キャスティングの意外性による演出効果のもっとも高名な例は、チャップリンの「殺人狂時代」だろう。 ヒューマニズムの旗手、人間愛に溢れた喜劇王とされていたチャップリンが、冷酷卑劣な連続殺人犯を演じて、映画のラストでは、教誨師の悔い改めの誘いさえキッパリと拒否して断頭台


【再掲】ネットで出会った「本物の趣味人」
ご当人のご存じないところで、全く余計なことを書く。5、6年前からフェイスブックで友人になった年上の投稿者に(今年還暦の自分より7、8年上か?)、A さんという方がいる。 この方がライフワークとしているのが、黒澤、小津、溝口の影に隠れた日本の名監督・成瀬巳喜男、亡命ドイツ人の職人的名匠・ダグラス・サーク、現代のリアルを描く英国の左翼映画作家ケン・ローチの全作品鑑賞、批評なのだが、この度、成瀬の全作批評が完成した。 成瀬巳喜男の「浮雲」「稲妻」「母」「山の音」くらいしか見ていない自分は、この方の投稿を読むことで、この日本を代表する映画監督の本領に少しは触れられたような気がする。 氏の映画解説を読み終えたあと、映画を一つ見終わった時のような感慨を覚えて、大きなため息をついたことも一度ならずあったのである。 以下、A氏が(現存する)全作品網羅を伝えるフェイスブック投稿。 https://www.facebook.com/plugins/post.php?href=https%3A%2F%2Fwww.facebook.com%2Fpermalink.php


ネットで出会った「本物の趣味人」の映画解説〜「みんな、おしゃべり!」(2025)
これは面白そう、見たい。私が思うところの 「本物の趣味人」、安藤雅人さん の懇切丁寧な解説も素晴らしい(だから見たくなったのです) https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=pfbid02CjxvofAR6YN8H82meFZx3iVR1c3URuehukVxdH5EHCXzf5dh2hdSdbDBsagWodmcl&id=100005744913943&locale=ja_JP 私は、この方の映画評を読むと、その映画をもう見終わったような充実感を感じることがよくあります。 これは、良いことなのか、悪いことなのか・・・(笑) 私が、安藤さんを一番好きなところは、これほどの趣味人でありながら、リベラル、自由人、主知主義の立場が揺るがない所である。「趣味人だからこそ」ということかもしれない。最近よくいる「勝ちたいだけ」という似非リベラルとは違うのだ。 「いいことか悪いことかわからない」と言ったのは、多くの場合、氏の解説が、懇切丁寧であるがゆえに、かなりのタネアカシ、ネタバレを含んでいるからで


【再掲】たそがれ清兵衛(2002) 〜映画感想文 ※タネアカシあり
藤沢周平原作、だが、実は「たそがれ清兵衛」よりも藤沢の別の短編「ほいと平八」を元にして脚色している。夕方になるとそそくさと家に帰る、というところだけが「たそがれ清兵衛」で(こちらは病身の妻の面倒を見るためだが)、やもめぐらしで身だしなみが整わず殿様から叱責されたり、上意討ちを命じられたり、紆余曲折の末幼馴染と結ばれたりするのは、後者のストーリーだったと思う。「ほいと平八」では映画の題名にならないので「たそがれ清兵衛」にしたのだろう。 ラストの田中泯との決闘シーンは、新しいチャンバラアクションを見せられた気がした。黒澤明が、様式化されたチャンバラをリアルな斬り合いに変えたとされているが、山田洋二も時代劇アクションに新しいスタイルを付け加えたと思う。圧倒的なスピードで瞬間に終わらせる三船敏郎の殺陣と対照的な、二人の剣の達人が延々と死闘を繰り広げ、無数の刀疵を負いながら、最後に力尽きて決着がつく「西部劇の殴り合い」タイプの時代劇アクションである。これはやはり、主役に真田広之というアクション俳優を配した事が大きいだろう。真田は、三船敏郎タイプの「瞬殺の殺


【再掲】間違えやすい映画の題名十選〜「タミオとジュリエット」「燃えよドラゴンズ」など...
1) 復習するは我にあり ※先生に復習しろといつも怒られるので、「いつか復讐してやる」と思っている小学生の話し。大藪春彦原作でも、連続殺人犯の実録映画もない。 2)10回 ※一日10回のスクワットを日課としている老人の日常を淡々と描く。海が割れる映画ではない。役所広司主演の Perfect Days にテーストが似て・・・ないかも。 3)アヘー ※谷岡ヤスジ原作の忠犬バター公の物語。ベトナム反戦ミュージカルを期待しないで欲しい。アヘアリアース、アヘアーリアース と新宿のホームレスが歌うテーマ曲が有名。 4) 大脱肛 ※痔持ちの中年男性の脱糞時の苦痛の表情を延々と映したカルト映画。ちょっと見る気になれない。マックイーンさん、ブロンソンさん、すいません。 5) 燃えよドラゴンズ ※中日ドラゴンズの応援歌。私の見ていた頃は坂東英二が歌い、出だしは、「一番高木が塁に出て」だった。あの、香港映画のフリをしたハリウッド映画のことではない。 6) オメン ※縁日で売っていたパーマンのオメンに異常な愛着を示す中年男性と、ホスト志望の浪人生のBL &...


【再掲】寅さん映画の場面転換の「音」「ノイズとしての人の声」について
小津安二郎の静物画的ピローショット 「音」といっても、特別のテクニックの事を言っているのではなく、外国の評論家の言うピローショット、平たく言えば「場面展開の絵」に載せてある音、ノイズの事。 例えば、夕暮れ、田舎町の雑貨屋の前を自転車に乗った女子学生が通りすぎる、その時、店番のお婆さんがかける「気いつけて帰りんさいよ」・・・みたいな言葉、音。おそらくロケ地の地元の人に言ってもらってる、方言混じりの、その声。 音は環境音、ノイズとして取られ、特別に強調されていない。 この「立ってない」音のさじ加減が抜群なのですね。 考えてみると、我々は、普段の生活の音を、映画やテレビみたいに、強調された特定の音として聞かないわけで、こういう人声も、数多ある生活音、ノイズの一つとして聴くのである。このさじ加減の抜群さが、今となっては懐かしい景色、光景に相まって、我々になんとも言えない感懐を呼び起こすことになる。 この種のショットを外国人が「ピローショット」などと言い始めたのは、小津安二郎が場面展開の絵を多用したからだが、小津は、ラーメン屋が吹くチャルメラの音や柱時計の










