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今日の一句〜熱帯季題「宝冠木」「ゴム」「榕樹(ガジマル)」

  • somsak7777
  • 4月18日
  • 読了時間: 3分
ガジマルではなくレインツリー
ガジマルではなくレインツリー


▪️宝冠木


沙弥僧の掃く手止まりて宝冠木 万斛


沙弥とは見習い僧のこと。沙弥とという言葉の中に、僧という意味が含まれているのだが、難しい言葉だし、字数を整えるために僧を加えた。句は、これといったアイデアもない、類想句。境内を掃いていた少年僧が、ふと手を止めて宝冠木の花を見上げた・・・というありがちな情景。無理やりタイっぽくするために・・・


サマネーンの掃く手止まりて宝冠木 万斛


にしようかな。


虚子歳時記に例句はなし。当時、結構、イメージの湧きにくい花だったのではないか?自分も映像が浮かばないので、どういう花なのかネット検索で調べた。小さな赤い花が、だんご状に丸まっている、あんまりパッとしない花。一見して「宝冠」というイメージとはならなかった。



▪️ゴム


ゴムの木は、老木化して樹液が出なくなると、家具の材料として使われれる。重さは中程度(黒檀を一とすると0.5くらい、松や欅よりは重い)で、丸太も直径25ー30センチ程度と細いが、集積材として組み合わせて使われるので、家具はずしりと重い質感がある。


と、Google のGemini が言っていた。自分も、パラゴム製の家具は「クソ重くて、動かすのが大変」というイメージがある。チークなどと違って高価ではないので、タイ人の、ごく普通の家庭にあるもの、という印象もある。


運ぶのが大変なので、引越しして新居に移る時には、置いておかれることが多いのではないか?・・・と、そういう想像をして句を作ってみた。タイ人には否定されるかもしれない。


ゴムの木のテーブル黒き空き家かな では太

ゴムの木のテーブル置きさられ廃屋 万斛


パラゴムの古テーブルにピーがおる では太


ピーとは、タイ人が恐れ慄く「精霊」、平たくいえば「妖怪」「お化け」のこと


虚子歳時記の例句は


ゴム落葉踏んで案内や四迷の碑 敬三


二葉亭四迷の碑が南洋にあるわけもない。熱帯季題なのに、日本の風物を読んでいるのだから、反則ではないか?句自体もあんまり感心しない。おそらく、熱帯を旅したことのない人が詠んだ句だろう。



▪️ガジマル(榕樹)


カジマルを投票場所と定めたり 万斛


これは、実際に見た情景を詠んだ。と言っても、ガジマルではなく、同じように枝を大きく横に張って木陰を作るレインツリーを想起して呼んだ。レインツリーの木のすぐ向かいにある村の寄り合い場所が、選挙の投票場所になっているのである。


冒頭に挙げた写真がそれ。別に衆議一決したところに立ち会ったわけではないが、自分にはそのレインツリーが、村落民主主義の象徴のようなイメージがあるのだ。牧歌的な句になったが、この村落民主主義は、結構生臭くもあるのである。



ガジマルの根に閉ざされて涅槃かな 万斛


アユタヤにある有名なツーリストスポットのこと。ガジュマルの根に包まれれて、仏像の顔が観念したように目を瞑っている、観光写真でよく見るあれである。「アユタヤ県マハータット寺にて」とでも注釈をつけた方が分かりやすいかもしれない。


例句は、


かじまるの上と下との猫の声 白山


猫というのは、木登りが得意で、庭にある6、7メートルのマンゴーの木など、瞬く間に駆け上がってしまう。それがガジマルの木だったら、随分、登り甲斐があるだろう。あるいは、木の上と下で、求愛の鳴き声を交わし続ける猫たちを歌っているのかも。素朴で愛すべき写生句、というか、写音句。


<了>

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