高浜虚子の「熱帯季題」で作られた句を、ChatGPTに批評させてみた。
- somsak7777
- 2月24日
- 読了時間: 3分
更新日:2月25日

以下、高浜虚子の提唱した「熱帯季題」に依って作られた俳句。虚子自身の作は一つ目の句「熱帯の海は日を呑み終りたる」しかない。出典は、呉衛峰氏の以下の研究論文から。
◯熱帯:赤道を中心として南北緯度二十三度半の地帯。高温多雨で常夏の国である。
・熱帯の海は日を呑み終りたる 虚子
〇赤道
・島に立つ赤道標や十字星 北浪
〇馬来(マライ)正月:(例句なし)
〇朝陰
・大船の朝陰曳いてゆきにけり 李一
〇木蔭
・やゝありて潮の満ちくる木蔭かな 北浪
〇オアシス
・オアシスは砂漠の島や葵咲く 楠窓
〇貿易風
・国旗ふく貿易風は日もすがら ましろ
〇スコール:熱帯地方特有の爽快な驟雨。
・簷下にをどる独木舟(カヌー)やスコール来 圭草
〇赤道祭:艦船などが赤道直下を通過する際に行はれる一種の祭儀、昔の帆船は多く之を行ったもので、今でも練習船などはよく之を行ふやうである。
・選ばれし赤道祭の女王かな 晴峰
戦後、歳時記を改訂するときに、高浜虚子はこれらの季題を削除している。「高浜虚子にとっての戦後処理だったのだろう」と誰かが皮肉っぽく書いていた。虚子の南洋俳句からの撤退は、歴史的、政治的問題を孕んだテーマなのかもしれないが、戦後80年も経って、今更そんなことを考えても仕方ないので、自分は、ただただ、身近にある熱帯の風物を上手に詠んだ句として楽しみたい。
この小論文は、上に挙げた以外にも、熱帯季題の句をいくつも上げてる。その中から自分が面白いと思った句を抜き出して、ChatGPTに批評させてみた。名誉挽回の機会を与えるために、比較的解釈が簡単な句を選んだ。批評は100字以内とする。
〇鰐 王宮は鰐住む水に臨みけり 友次郎
ChatGPT選評:王宮の静かな佇まいに、「鰐住む水」という異国的説明が添えられ、景そのものが可笑しみを帯びる。誇張せず、距離を保った視線が、旅人の驚きを軽く伝える。
〇象 バス行きて道きはまれば象に乗る 颯爽子
ChatGPT選評:道の果てでバスから象へと乗り替わる、その牧歌的な昔日の風景が自然に浮かぶ。異国の暮らしを誇張せず、軽い可笑しみで伝える。
◯龍眼 龍眼売値切りて妻に旅愁なし 夜牛
ChatGPT選評:「こんなとこまで来て値切らなくても」と少々呆れながらも、生活を共にする者への暖かさが滲む一句。(これは全部自分が書き直した)
〇椰子 月の出や海へ斜の椰子一ト本 南斗
ChatGPT選評:月の出とともに、海へ斜めに伸びる椰子が一本だけ浮かび上がる。説明を排した構図が効き、南国の静けさと広がりが素直に伝わる。景に身を委ねた一句。
〇榕樹 かじまるの上と下との猫の声 白山
ChatGPT選評:榕樹の上と下に分かれた猫の声だけで、木の大きさと空間の隔たりが伝わる。姿を見せず、位置関係だけを捉えたところに可笑しみがある。
〇熱帯 熱帯の海は日を呑み終りたる 虚子
ChatGPT選評:熱帯の海を擬人化し、夕日の沈没を「日を呑む」と捉える想像力が大胆。写生を超え、言語の力で自然を再構築した高浜虚子らしい一句。
以上、この選評がすぐ出てきたわけではなく、かなりのキャッチボール、指導的アドヴァイスがあって、この評に落ち着いた。中には、こちらで全部書き直したものもある。言葉と言葉のつながり、観念連想で文章を構成していくので、俳句みたいな感覚のアートについては、見当違いの解釈をすることも多いのだ。触ったり、匂いを嗅いだりはもちろん、映像を見たり、音を直接聞いたりすることもできないのである。「それでよく、ここまでもっともらしいことが書けるなあ」とむしろ感心してしまう。
<了>














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