今日の一句〜熱帯季題「マンゴスチン」「マンゴー」+「永遠の嘘をついてくれ」が泣ける
- somsak7777
- 3月14日
- 読了時間: 5分
更新日:3月16日

▪️マンゴスチン
耳下腺痛しひと匙のマンゴスチン では太
添削 耳下腺にきたマンゴスチンのひと匙 では太
これは虚子歳時記に例句がなかった。
当時、マンゴスチンは、東南アジアを旅しても遭遇することが少ない、希少な果物だったのだろうか?そういえば、自分が子供の頃は、スイカなどは旬のもので、夏しか食べられなかったと思う。今なら、タイに来れば、マンゴスチンくらいいつでも食べられるが。
耳下腺(じかせんと読ませる)とは、耳の下あたりにある唾液を分泌する腺。マンゴスチンというのは、かなり強烈に酸っぱい果物なのだ。甘いイメージより酸っぱいイメージ。顎の奥が痛くなるくらいに酸っぱい。
もう一句、マンゴスチンは、あの分厚い表皮のドス黒い赤が印象的なのだが、いい形容が見つからなかった。以下は、いろんなタイプの赤を集めた色見本。ここで色を選んでみた、本当はどどめ色がいいのだが、語感が悪すぎる。
「赤系の色一覧」
血の色で言うと、動脈系ではなく静脈系、しかも、それが凝血した感じ。無理やり作ってみる。色は主に語調の関係から唐紅(からくれない)とする。これはハッピーエンドの曲「ハイカラハクチ」からの連想でもある。
(一番)♪きみはハイカラ唐紅のおー、(2番)♪きみは肺から血を吐きながらー
というあれである。以下、動画のアドレス
脱線しがが句の方はこれ、
マンゴスチンの唐紅を裂きおる指 万斛
添削 マンゴスチンのからくれないを指で裂く では太
そして、その指は、カラオケのお姉さんの指・・・だった、というオチでした。タイのカラオケとマンゴスチン、これには切ってきも切れない関係にある。しかし、これだと、赤は動脈系の赤になってしまう。
だからもう一句、「ハイカラハクチ」の印象から直接に、静脈系で、
静脈血が固まり凝るかマンゴスチン 万斛
添削 静脈血が凝り固まるやマンゴスチン 万斛
しかし、割ってみると、真っ白の小さな果肉がつましく隠れている。このコントラスト!
▪️マンゴー
雨雲やマンゴーのーそりのそりとす 万斛
添削 雨雲来てマンゴーがのそりのそり では太
これは、今、窓から見ている情景を詠んだ。
自分の勉強机(仕事机と呼ぶには、あまりにも仕事をしていないので)から見える窓の外に、義母が野菜を植えた畑があり、その奥、隣家との塀の前に高さ5メートルくらいのマンゴーの木がある。最近、雨季への端境期に入って雨がときどき降るのだが、雨雲が来て空が暗くなり始めると、このマンゴーの木が、もっさり、ゆったりと、象が頭を振るように鈍重に揺れるのである。木が狂った(気が狂った)ようにマンゴーが踊り出すのは、風が強くなるもう少し後のことだ。
いわゆるマンゴーシャワーというのは、乾季の終わりから本格的な雨季に入るまでに降る雨のことで、マンゴーの実の成長を助けるので農家にとっては恵みの雨なのだそうだ。しかし、風雨が激しすぎると、木そのものが倒れてしまったりするから、それほど牧歌的な話でもない。越してきて2年になるが、その間に2本、マンゴーの木が折れて枯れている。
マンゴーの木が揺れ始めるのを見ると、「どっどどどどうど、どどうどどどう」という、あの伝説的擬音、「風の又三郎」を思い出す。だからこの俳句ではオノマトペを使おうと思った。「のーそりのそり」というのは、大型哺乳動物がごく控えめに歩く時の「のそりのそり」という、あの擬態語である。そのまま使っても面白くないので、「のーそりのそり」とリズムに変化をつけた。
「雨雲や」とすると雨雲が季語みたいだが、 ChatGPTによれば雨雲は日本の歳時記では季語になっていないそうだから、少なくとも季重なりにはならない。日本の気候だと、雨雲はいつの季節にも出現するので、季節を表す言葉とセットで使われるのが普通なのだそうだ。タイの場合、雨雲が出る季節は限られてきて、より季語的なイメージになるが、どうせ素人が作るいい加減な句だから、♪どーだっていいぜ問題はなああああし!
ちなみに、虚子歳時記の例句は、
マンゴー籠マニラ土産の友老いし 蒼石
・・・という、昭和っぽい、吉田拓郎っぽい句だった。というか、中島みゆきが吉田拓郎に向けて作ったらしい「永遠の嘘をついてくれ」という歌を思い出した。下、両者が共演してその歌った神ビデオ。原曲で友人はより先端的な街、ニューヨークや上海にいるのだが。
吉田拓郎は完全に楽屋をバラしてしてしまったが、中島みゆきは「永遠の嘘」をつき続ける覚悟らしい。俳句とは関係ないが・・・。黙って現れて、黙って去る。少なくともそういう演出である。拓郎に「あんたしっかりしなさいよ」と言っている感じ。
それはさておき、
この句は、南洋で一旗あげるぞと怪気炎を挙げていた、ちょっと胡散くさい感じの若い頃からの友人に久しぶりに会って「こいつも年取ったなあ」と軽いショックを受けている。そういう句なんだろう。昭和大陸浪人風ロマン。今じゃ、フィリピン帰りも、タイ帰りも、胡散臭く見られるだけだが、戦前の句であることを加味して読むとそういうイメージになる。
ではでは
<了>














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