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タイの新首相選出まで(テレビ日記2025年9月から)

  • somsak7777
  • 9月6日
  • 読了時間: 8分
当選を父親に報告するアヌティン新首相当選を父親に報告するアヌティン新首相
当選を父親に報告するアヌティン新首相当選を父親に報告するアヌティン新首相

2025年9月3日(水)


午前9時から人民党が記者会見、首班指名で「タイの誇り党」のアヌティン党首に投票すると声明。議員の他、一般党員がオンラインで投票した結果、議員も党員もアヌティン支持が圧倒的に多かったという。議会外勢力の介入を阻止するためという党執行部の説明が理解を得たよう。思想的傾向や軍との距離感は、現与党の「タイ貢献党」の方が、「タイの誇り党」よりも、人民党に近い。


この声明を受けて、タイ貢献党のブムターン暫定首相が、昨日午前に議会解散を奏上したと公式に明らかにしたが、アヌティン党首は構わず首班指名を国会の議題として申し入れた。前提首相に解散権があるかどうかは、意見が別れるところだが、人民党の代表や相当数の識者、「解散権あり」としている。しかし、通常、議会解散の勅令はすぐ発令されるものなので、現在に至っても(今、9月4日の朝3時半)出ていないということは、憲法上の疑義があるから王室事務局が差し戻したのではないか?と、そういう観測も出てきている。


勅令が出なければ、解散は認められなかったということだから、議会が招集され首班指名が行われる。アヌティン首相の誕生である。つまり、今週中、金曜日までに解散の勅令が発せられなければ、アヌティンの勝ち、勅令が出れば、総選挙に突入ということになる。どちらにしても、タイ貢献党には難しい状況になるとは思うが、下野して、選挙の差配をライバル政党に握られるよりはマシと考えたのだろう。しかし、プンターン暫定首相に対して、憲法上疑義のある奏上をしたという理由で、不敬罪で告訴する動きが出始めているから、墓穴を掘った可能性もある。


水面下でいろいろな交渉が進んでいるのだろうが、そういうタイ政治の内情は知る由もないから、今日の午前中の段階で、解散の詔勅が出るかどうか見守るしかない。


※先ほどFBに入ってきたニュースによれば、首班指名は5日(金曜日)に国会の議題に入ったらしい。




2025年9月4日(木)


首班指名、明日9月5日に決まる。


タイ貢献党の議会解散の奏上は、憲法上の疑義(暫定首相に解散権があるや否や)が指摘されて枢密院のストップがかかり、明日の首班指名での「タイの誇り党」アヌティン党首の選出が決定的になった。タイ貢献党がチャイカセム氏を対抗の首相候補に押すという報道があったので、タクシンの政党も「下野」という現実を受けいれたようだ。


今回のアヌティン氏の首相就任は、「4ヶ月以内の解散総選挙」を条件に、比較第1党(で、かつ野党第一党)のタイ人民党が、同氏の支持を決めたためであり、純粋左派の連中からは批判を浴びるかもしれないが、クーデターを正当化するような混乱を作らないことを第一に考えた判断であり、自分は正解だと思った。


プロセスを公開して、オンライン投票により一般党員の意見も反映させるなど、決定までの過程を民主的に透明化していることも印象的だった。日本の革新政党も見習ったらどうか?

こういうやり方を見ても、ある種の独裁と親和性がある旧左翼とは手法が違うので、旧左翼臭がある「人民党」と訳すのには抵抗がある。「人々の党」とでも呼びたいところだが・・・、伝わらないだろう。


追記 続報を見たらタイ貢献党は、「自党の候補を選んだらすぐ解散、総選挙する」と「人々の党」に呼びかけている。まだ、下野の現実を受けれらないようだ(笑)悪あがき。元々、「人々の党」がアヌティン氏を支持したのは、タイ貢献党に対する不信感があるからなのだ。一般党員の気持ちもそうだろう。貢献党側もそれがわかっていないはずはなく、結局これは、「国民にとって最善の選択をしなかった」と、「人々の党」を攻撃するための布石に過ぎないのだ。


「人々の党」は、タイ貢献党との対比を鮮明にするためにも、他党との真偽、約束を優先するだろうし、一般党員にオンライン投票までさせて決めたことを、今更変えられるはずもない。解散総選挙に打って出るなら、貢献党側は、なぜ最初から「人々の党」にそういう提案をしなかったのか?そういう、批判も当然あるだろう。迷走した挙句の最後っ屁みたいなもので、見苦しい限り。


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タクシン、9日の最高裁判決前に、プライベートジェットでドバイへ出国。まだ確報になっていないが、タイのメディアがフライトレーダーで確認している。まず、帰ってこないだろう。「シンガポールで医者と会う」などと言ってたそうだが、明日、自分の党(タイ貢献党)が、首班指名を争うという時に、そんな理由で出国するはずがない。すでに帰趨は決まっていたが、これで貢献党は総崩れになるだろう。ペートンターン首相も一緒に出国したという情報もある。なんともドラマチックな幕切れ。でも、まだ終わらないかな。物語は続くのか?


追記 タクシンの説明では、ドンムアンの入管で2時間足止めをくらったので、シンガポールの空港に規定の時間までに到着できなかったから(プライベートジェットの着陸が許されるのは午後10時まで)、ドバイに進路を変えたそうだ。タクシンの乗ったブライベートジェットはシンガポール上空からアンダマン海に出て、二周ほど旋回してから、ドバイへ向かっているのが、フライトレーダーで確認されている、


この点は平仄が合うが、誰も信じる人はいないだろう。タイ人のコメントを見ても、誰も信じていない。タクシンは判決の日までに戻ってこない、に5000点(笑)


※あ、「判決前に」帰国しないだからOKなのか。だったらやっぱり5000点(笑)



2025年9月5日(金)


タクシンや周辺は色々いっているけど、要は、帰国するかどうかは判決次第ということでしょ。ジンラックの時も、確か、被告人不在で判決文を読んだから、今回もそうするのではないか?今のタイミングで、海外に出た場合、確実に、「逃げた」という印象を与えるから、今日の首班指名には、致命的な打撃だと思う。そういうマイナスを甘受してまで海外に出るのは、判決を事前に察知して、タイ貢献党が政権にある間に、国外に出たとしか考えられない。いずれにしろ、連立与党の士気はガタ落ちだろう。アヌティンは自分に投票する議員が300人を超えた(過半数は247)と言っていたが、あながちブラフではないかもしれない。


アヌティンが首相に就任するに5000点。タクシンが判決前に帰国しないに3000点(笑)被告人不在で判決が読まれ、無罪なら帰国するけど。


※ベットが3000点に下がったのは(クイズダービー、古いか)、無罪判決が被告人不在で読み上げられる可能性もあるから。そうなれば、帰ってこない理由がない。


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0900議会開会


首班指名を議題に割り込ませることの是非について投票結果


まだ首班指名の投票は始まらないが、新首相の選出を他の議題に先んじて投票することに賛成したものが313人。反対が142人。劣勢の与党、貢献党陣営は、時間を稼いで人民党議員を切り崩したいところだから、この議題には反対するだろう。ということは、首班指名でも、だいたいこのくらいの票の配分になるのではないか。300議席を越えれば、アヌティンの圧勝。タクシンのドバイ行き(逃亡?)の効果だと思う。


しかし、いつも思うのだが、こういう時、発言に割って入って抗議する議員は、マジでうるさいし、小物、という感じがする。見ていてイライラする。日本でも、英米でも、こういう議会の進行の仕方はないように思う。これでは、「割り込まないで、人の話は、最後まで聞きなさい」と子供に教えられないではないか。


貢献党のチャトロン・チャイセンが、候補者の推薦スピーチに立っていた。10数年前、タイ愛国党が解党判決を受けたとき臨時党首だった人で、判決を聞いている時の、彼の憤怒の形相が印象に残っている。確か、その時、傍聴席にいたのが、今回、裁判所の判決で失職となったペートンターン前首相ではなかったか。彼女も不満の表情を露骨に見せて、当時の保守派世論から批判を浴びていた。


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アヌティン 311ーチャイカセム 151

ほぼ予想通り。タイの誇り党・党首の圧勝、32代首相に選出。


人民党は、意にそまぬチョイスであったにも関わらず、所属議員143人全員が、アヌティン候補に投票した。ナタポン代表のこの指導力はすごい。前二人の党代表と比べて地味なイメージだったが、この人の落ち着いた感じのプレスへの受け答えに感心していたら、投票前のスピーチの迫力がすごかった。自分たちは、アヌティン党首に投票するのではない、解散総選挙と憲法改正に投票するのだ、と言い切っていた。そして、「考え方としてはあなた方に近い」とタイ貢献党に野党としての共闘を呼びかけたのだ。(人民党は首班指名には協力するが、野党の立場にとどまる)それまでのタイの誇り党とタイ貢献党のやりとりが、子供っぽい貶しあいだったので、余計に、彼のスピーチが際立った。その後、チャトロン・チャイセーンが、ゴニョゴニョと反論したが、迫力不足。時代の移り変わりを感じた。棄権する議員が出ると思っていたが、全員の足並みが揃ったのは、ナタポン代表のスピーチの影響があったのではないか。


ナタポン・ルアンパンヤーウット、なんとまだ38歳だ。



2025年9月6日(土)


ThaiPBSの分析


The People’s Party has done something unprecedented in Thai politics. It has declared full support for Bhumjaithai Party leader Anutin Charnvirakul as Thailand’s next prime minister – but will not join his government.


This marks a dramatic departure from the tradition of horse-trading among political parties when forming a coalition government. But to be clear, the People’s Party is not being entirely generous. Its crucial support for Anutin comes with many strings attached.


Full story in the first comment


こういうことですね。だから、人民党ナタポン代表のスピーチが非常に新鮮に響いた。それまでの、貢献党と「タイの誇り党」のやり合いは、Horse-trading politics のルーティーンそのものだったのだ。


この政治的決断に対して、「議会制民主主義を破壊しようとするもの」・・・云々として、貢献党が人民党を訴えようとしているが、バカだなあ、と思う。この人たちは、政治家として、司法の政治への恣意的干渉をよしとしているのだろうか?


人民党が、貢献党を信用しないのは、こういうところにある。ナタポン代表は、「司法を利用して政治的利益を得ようとするのはやめよう」と各党に訴えているではないか。憲法を改正しなければならないのは、まさに、その弊害を除くためなのだとも。




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