映画感想文「グリーンブック」(2018)
- somsak7777
- 4 時間前
- 読了時間: 3分
今、見終わったところだが、いやあ、いい映画ですな。アカデミー賞の主演男優賞はアル中の役をやると貰えるという時代があったらしが、作品賞はやはり、こういう日向的な、気持ちが明るくなる、格調の高い映画がいいですね。
途中まで、オスカー・ピーターソンのエピソードに触発されたストーリーかと思っていた。ピーターソンは、映画の主人公と同じトリオの黒人ピアニストだし、クラシックのバックグラウンドがある。
名前が出てこないが、ある白人の興行師が、ピーターソンや、エラ・フィツジェラルド、ルイ・アームストロングを連れて、アメリカ南部をまわったことがある。このプロモーターは、黒人のホテル宿泊を禁じる南部の「慣習」に一歩も引かず、白人アーチストと同じ待遇を常に要求した。道中、「白人用」のタクシーから降りるように警官に拳銃をつきつきられても動じなかったエピソードを後にピーターソンが語っている。
晩年は、スイスに移り住んでピカソの収集家として名を馳せたようだが、こういう人は大金持ちになる資格がありますね。
雨の中で、黒人ピアニストが、「私は白人には黒人として差別され、黒人からは白人の真似をする黒人もどきとして疎んじられる」と日頃の冷静さをかなぐり捨てて激白するシーンでは、ちょっとバラク・オバマを思い出した。
また、ドクがホモセクシャルであることに気づいても、サラリと受け流し、ほとんどいっさいドラマにしないところ、良いですな。もちろんそれは「ほ無言の」主張なんでしょうが、ホモセクシャルに対する、新しい映画の描き方だと思った。ことさら騒ぎ立てないことで、人間として特殊なあり方ではないことを主張しているのだと思う。
ほぼ常に、主要人物にしかフォーカスがあっていないカメラワークも見事。
あ、この映画、一種のクリスマスキャロルなのですね。今、気づいた。偏屈で人嫌いの黒人ピアニストが、無学なイタリア系マッチョに心を開くという「クリスマスの奇跡」が用意されているのだ。見事なクリスマス映画。10/10
追記

後で調べたら、「ある白人の興行師」の名前はノーマン・グランツ。上の写真の向かって左端の人。映画「グリーンブック」はこの人のために作られるべきだった。他に、エラ・フィッツジェラルド、オスカー・ピータソン、ノーマン・グランツの隣にいる女性は、アニタ・オデイか?
下にアドレスを示した写真検索アプリによると、1953年2月、ドイツ、ハンバーグのアトランティックホテルで撮られた写真だということ。エラにとっては初めての欧州ツアー。アニタ・オデイは参加していないよう。(黒人のジャズミュージシャンは、欧州で先に評価されたのである)










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