不定期テレビ日記(2025年12月②)
- somsak7777
- 3 日前
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更新日:1 時間前

2025年12月10日(水)
猫パルボウィルスの予防注射、2回目を打つ。これで、サンシー(三毛)は一安心。接種後も、元気に遊んでいる。猫の黒死病のせいで、村中の猫はめっきり減ってしまった。もしかしたら1匹しか残っていないかも。少なくとも自分は、最近、村の通りで猫の姿を見かけたことはない。つまり、サンシーは方舟に乗ることが許された選ばれた猫なのだ(笑)長生きしてくれればいいと思う。正確な生年月日はわからないが、母親と一緒にいるところを見つけたのが、昨年の12月始めなので、今月で満一歳となった。
2025年12月11日(木)
朝から盛大に砲声が響いてくる。今日は、連続して着弾する砲声が多いようだ。これがBM21の砲声の特徴なのかも。(自分が聞いている音には、それ以外にも、大砲の音、タイ側の戦闘機の爆撃音が混じっているだろう)構わず、朝飯を食う。
砲声一つにつき、誰かが死んだり、怪我したり、誰かの家が壊されたりしている可能性があるのだが、こう言う時は、「関心領域」を狭窄化しないと、やってられない。
カンボジア側が、ほぼ無差別に、国境の民間地域にカチューシャ砲を撃ち込んでいるが(BM21は、サッカー場くらいのエリアを面で攻撃するためのものなので、精密攻撃は不可能なのだ)、民間人は全て避難済みだから、民間の死傷者はゼロである。驚くべき離れ業だ。兵士の死者は、戦闘4日目で、8人に達している。
一方、カンボジア側は、兵士に家族の同伴を許しているようだ。軍紀を無視して投稿される兵士のSNS投稿でわかるのだが、この「国力」「民度」の差は覆いようがない。
タイ側の殉死者は、国のために命を犠牲にしたヒーローとして入念に讃えられるが、カンボジア側は、戦死者の存在すら認めようとしない。全て、独裁者のメンツのためである。今のところ、タイに対する長年の遺恨からか、カンボジア兵の士気も比較的高いようだが、戦闘が長引けば、この「国力」の差は、士気の低下として顕著になっていくだろう。
ティア・バン元国防大臣がロシアと接触して武器の提供を求めたとか、サム・レンシーが亡命政権の樹立を宣言したとか、きな臭い噂も流れているが、このメンツでは無理だろう。当分、フンセン独裁は続くのではないか。
一方で経済的には、タイ国境の封鎖が深刻に響いてきているようだ。紛争勃発後、カンボジアに帰国した移民労働者は90数万になるが、そのうち国内で職を得られた人は10数万人すすぎない。(I LOの調べでは、カンボジアの移民労働者は平均4人を扶養している)
また、カンボジアを訪れる観光客の4割はタイ人で、全観光客の8割がタイを経由してカンボジアを訪れる。影響は旅行業だけではなく、ホテル、レストラン、エンタメの分野にも及んでいる・・・云々。
タイのテレビの報道だから割り引いて考えても、カンボジア経済は深刻な打撃を受けていると思わざるを得ない。加えて、トランプ関税の重荷。カンボジアには、1000を超える縫製工場があるが、不況に耐えかねて、ゼネストを起こす可能性も囁かれているという。
最初は、シーゲーム妨害のために小競り合いを仕掛けたのかと思ったが、戦線はどんどん拡大され、今では、東部トラート県でも熾烈な戦闘が行われれいる。どうやら、焦ったフンセンが、少しでも失地を挽回して、再び停戦に持ち込むために起こした戦闘のようだ。全面戦争のオプションはないのだから、そういうことだろう。
やはり、アルツ的独裁者フンセンは座敷牢に閉じ込めないと・・・。こういう時こそ中国の出番ではないか。中国がこの無学な老人を勘違いさせ、増長させたのだから、責任はあるのだ。
※今日の軍の発表で民間人の死者が三人となっていた。訂正。しかし、民間人の死者は、対外宣伝用からも、大きく報道させるはずだが、いつ起こったのだろう。少なくとも自分はニュースを見ていない。ちなみに兵士の死者は9人に増え、負傷者は120人。
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なんと、カンボジアとの戦闘の真っ最中に、アヌティン首相が、解散の奏上をした。戦争の最中に議会を解散し、選挙管理内閣になるなど、日本の常識ではあり得ないことだが、タイのメディアも大騒ぎしている。
首相は、カンボジアとの戦争指導の権限を軍に全面的に移譲し、殉死した兵士のことを聞かれて涙を流すなど、当事者能力に欠けた振舞いだったから、かなり前からそのつもりだったのかもしれない。
なぜ解散に踏み切ったかは説明すると長くなるし、完全に理解している自信もないので、内閣発足時に協力を得た野党第一党「国民の党」との軋轢が原因とだけ書いておく。首班指名と引き換えに同党と約束した憲法改正も反故にすることになる。
9月の政局時にタイ貢献党が解散の奏上をして、枢密院に「書き直せ」と突き返された前例があるので、今回ももしかしたら、詔勅がすぐには降りないかもしれない。タイミングが悪すぎるのだ。
兵士9人、民間人が3人死亡し、軍の負傷者が120人も出ている戦闘の最中に、「党利党略」で議会を解散するなど、普通なら許されていいはずはない。こういうのを見ると「日本の自由民主党は随分マシだなあ」と思ってしまうのだ。
ちなみに、これ、アジア在住者あるある。欧米に住む人は「ではのかみ」になるのだろうが、こちらは「日本がまだマシ」に思えてくるのだ。
ではでは(笑)
2025年12月12日(金)
下院解散の詔勅があっさり降りた。総選挙は議会解散から45日から60日の間に行われる。タイでも選挙は日曜だから2月1日か8日に投開票という計算になる。
緊急事態下での議会解散を批判する声はほとんど出てこない。これから出てくるのかもしれないが、タイ人は「戦争は軍がいれば十分」という考え方なのかもしれない。この辺り、やはり、日本人とは感覚が違う。
うちのかみさんは「交渉で誤魔化す相手がいなくって、カンボジアは怖がっているんじゃないの」と冗談ぽく言っていた。別にいなくなるわけではないが、政府の正当性レベルが一段落ちるのだから、戦争への軍の発言力が増すことに間違いはない。ま、元々そうなのだから、同じことと言えないこともないが・・・。
今朝も、時々、砲声が遠雷のように聞こえてくる。昨日と比べると、かなりスローペース。ついにカンボジアも息切れしてきたか。そうだといいのだが・・・。
フンマネット首相が国連に「即時停戦」の決議を出すように要請したそうだから、もう、停戦したがっているのかもしれない。タイ側は、この機会に、カンボジアの戦争能力を叩き、実効支配する領土をできるだけ「回復」しておきたいという腹なのだろう。
先ほどのニュース。フンセンが国民へ向けて演説。タイ語の翻訳がついていたそう。見ていなかったのでかみさんに内容を聞くと以下。
<タイがカンボジアを侵略したいならば、扉を開けて迎えいれる。国際社会にタイを厳しく批判させ、広範囲に展開したタイ軍が弱体化したところを攻撃し殲滅するのだ・・・云々>(笑)
国内向けの演説としても稚拙である。タイがそんな無意味なことをするはずがない。日本が北朝鮮や韓国に侵略すると仮定するようなものだ。フンセンも苦しい立場に追い込まれているよう。犠牲を強いている国民の手前、何か、計略があるように見せかけざるを得ないのだ。
2025年12月13日(土)
今日は、朝から、ほとんど砲声が聞こえない。30分か1時間に一回ほど、遠からで、雷のような鈍い音が響いてくる感じである。今、午後3時くらいだが、微妙な揺れを感じさせるような爆音(ここは一番近い国境から50キロほど離れているが、かすかに窓枠が揺れる感じが時々あるのである)は一度もない。殆ど砲声を意識しないで過ごした。
報道によると、ウボンラチャタニーとトラート方面の戦線では激しい戦闘が続いているようだが、両者ともここから100キロ以上離れているので、さすがに音が届きにくいのだろう。トランプコールの影響で、少しは戦線が縮小したのだろうか。
タイ王国陸軍の参謀総長に公共放送のトップ(スティチャイ・ユーンの弟さん)がインタビューしている。タイの軍部は、カンボジアが当面の将来、タイに危害を及ぼさないくらいまで、カンボジアの戦力を低下させることを、今回の作戦目標と位置付けているようだ。例えば・・・
「戦争をするには、戦争する意思と、意思を現実化するための戦力が必要で、この二つのどれが欠けても戦争はできない。カンボジアの指導者に我が方と戦う意志は強くあるようだが、戦力がなければ戦いを仕掛けることはできない」
「相手型は、今回の国境での戦闘に戦力の全てを費やしている。」
「戦闘によって双方の戦力が低下するわけだが、彼らの戦力を今回、殲滅に近いところまで叩いておけば、戦力を回復させる過程で、彼我の戦力差は、彼らが再び我が方と戦えないところまで拡がっていくだろう」
まだ全部見ていないが、冒頭でそんなことを述べていた。
また、タイ軍は、今の状況を「戦争」とは位置付けておらず、戦争へエスカレートするレッドラインを、PHL-03(射程130キロの多連装長距離ロケット砲)をカンボジア側が使用して主要都市を攻撃対象とするかどうかに置いているようだ。
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1999年、ミャンマーの少数民族武装ゲリラ「神の軍隊」がバンコクのミャンマー大使館を占拠して人質にとった時、タイ政府は粘り強く交渉して人質の解放を勝ち取り、ヘリコプターで犯人グループを運んで国境で解放した。犯人グループを信用させるため、ヘリコプターには、のちのバンコク市長で当時の外務副大臣スクンパン・ボリパットがが同乗した。スクンパンは臣籍降下したが王室の血筋でもある。
翌年、同じグループがラチャブリーの病院を占拠した時には、治安部隊が急襲して、有無を言わさず犯人グループ10人を全員射殺した。どちらも同じ第二次チュアン政権の時である。
これが、自分が理解している「タイのやり方」。怒らせてはいけない。
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タイ・カンボジア両首相との電話会談後、トランプは・・・
「タイ兵が地雷を踏んだのはただの事故なのに、タイ側が過剰に反応している」
多分、アヌティンの後でフンマネットと話したのだろう。だから、そちらの説明が頭に残ったし、タイに圧力をかけた方が簡単だと思ったのだろう。
相変わらずバカだなあ、トランプは。これでアヌテインも軍も、ますます後に引けなくなった。こういう人と話をするときは、話す順番も考慮に入れないと(笑)
もし、アヌティンがタイメディアに語ったようなことをトランプに言い放っていたとしたら、気で鼻を括ったような返事に、腹を立てたのかもしれない。
軍事的に劣勢なカンボジアは(今日もカンボジア側の重要拠点が新たに「完全制圧」された)、トランプの停戦提案に乗り気だったろうから、カンボジア側の態度の方が気に入ったことだろう。
この人に一貫した原則はなく、全ては老人性の気分の移ろいに左右されてしまうのだ。いっていることがコロコロ変わるのも、駆け引き、高等戦術でやっているわけではないと思う。
トランプは、「一日4、5時間しか執務できないほど体が弱っている」とも伝えられている。ダイエットコーラが好物で、デスクには「コーラーくれ」専用の呼び鈴?があるそうだから、まず、間違いなく糖尿だろう。認知能力の衰えも顕著なのではないか?だから一番わかりやすい回答にすぐ飛びつくのである。
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午後6時。
バンコクでの反戦集会に集まったのは6人(笑)というニュースがあった。アメリカ人にとってのベトナム戦争みたいに、他国で戦争しているわけではない。隣国が自国の領土にバンバン砲撃を加えてくる類の戦争なのであある。撤退して終わる話ではないのだ。漠然と「反戦」を呼びかけるだけでは、リベラルなタイ人であっても「ちょっと無責任じゃないの」と感じるのではないか?
先ほど、マレーシアの首相が、今日の午後10時までに停戦し、15日にASEAN外相会議で討議することを提案した。「ASEANの呼びかけに応じてひとまず停戦に応じて」というのなら、反戦平和へのプロセスが見えるから、まだわかるのだが・・・
KhmerTImes によると、フンマネットが停戦を支持する声明を出したらしい。タイでは、カンボジアメディはブロックされているようで、記事の内容は読めなかった。
「停戦に応じないタイ」という図式をカンボジアは作りたいのだろうが、タイ側は構わず実を取ってくるかもしれない。タイ政府・・・というか、タイ軍部は、どのあたりで国際世論と軍事的、領土的実利のバランスを取るのだろうか?
まずは、今日の午後10時に暫定的にも停戦が実施されるかどうか、見てみよう。少なくとも、今、午後6時の時点で、その気配は無いのだが・・・アヌティン首相も、停戦合意の報道について、「何かの勘違いでは?停戦は時期尚早」と記者の質問に答えている。
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追記 この後、アヌティン首相は会見を開いて、正式に、本日22時を期限とする停戦提案に応じないことを表明した。首相の緊張感にかけた緩い感じは、いかにもタイ的で藤山寛美を思わせたが、ま、ある種の余裕と受け止められないこともない。
首相が立ち去る時、同席した軍幹部の一人が、「殉職した15人の兵士の親御さんや、奥さん、子供たちが、(この停戦案を)どう受け止めるか、どうか考えてみてください」と、少し昂った感じで、記者団に呼びかけたことが印象に残った。
首相の緩い雰囲気とあまりにも対照的なのである。あの発言が、軍首脳部全体の空気を反映しているのだとしたら、何かしら、政治的な事故が起こる可能性を考えざるを得ない。すぐそこに考えがいくのは、タイ在住者の病気なのかもしれないが・・・。
今、14日の午前2時だが。戦闘機が飛んでいく音がかすかに聞こえてくる。













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