マティチョン誌から(20170728-0803号)
- Plaadipbkk
- 2017年8月4日
- 読了時間: 3分

今週は、国王誕生日があったため、表紙は現国王陛下の写真。従って、表紙に見出しはない。
巻頭言は、開始後3年たったデジタル放送について。ニュースに参入した各社が軒並み赤字を出していることを具体的な数字を示して伝えている。
チャンネル16/TNT24ニュース、2014年赤字1.31億バーツ、2015年同2億バーツ、2016年同1.64億バーツ、チャンネル18/ニュースTV、2014年赤字1.4億バーツ・・・といった具合。
全社、数字を挙げているが利益が出ているところはひとつもない。高額な許可料を払って認可を得た24チャンネルのうち、2チェンネルを取得したTVプール社はすでに白旗を掲げ、黒画面の放送が続いているという。
タイの広告市場は年間600~700億バーツで、それを3,5,7,9,11のテレビ局が分け合っていた。そこに20数チャンネルが参入し、パイの分け前を奪い合う展開になったのが根本的な原因だという。
視聴率の低迷も深刻で、ゴールデンタイムですら数字が低調だという。軍事クーデターと経済低迷の中、多難な船出となったデジタル放送、果たして何社が生き残れるだろうか。
今週の最大のニュースは、「米質入れ制度」をめぐつて汚職容疑で裁判にかけられていたジンラック元首相の公判が結審し、判決日が8月25日に決まったことだろう。マティチョン誌もページを多く割いて、このニュースを伝えている。
8月1日、ジンラック氏側は口頭で最終弁論を行った(15日までに書面でも提出す)。検察側も書面で15日までに最終陳述書を提出する。(この中で求刑が示されることなのだろう)両者の最終陳述を受け、裁判所側は約10日間を費やして判決文を書き上げることになる。
最終弁論のあと、ジンラック氏は自らのファイスブックに声明を出し、賠償金没収に備えて銀行口座が凍結されたことをあかし、支持者に対して身の潔白を訴えた。
8月中には、4つの大きな裁判の判決が予定されいてる。ジンラック氏のケースの他、政府購入米の政府間取引をめぐる汚職事件、アルパインゴルフ場の不正認可事件、そして、ソムチャイ・ウォンサワット元首相(タクシン氏の義弟)のデモ参加者に対する弾圧の正当性を問う裁判の判決だ。

いずれも旧タクシン派の政権関係者が被告となり、独立機関「汚職撲滅委員会」が訴訟を提起し、最高裁の特別部署で一審制により裁かれる。タクシン氏も同じ状況で裁かれ、2年の実刑判決を受け、国家への賠償として多額の財産を没収された。
このうちソムチャイ氏の裁判は、8月2日に判決が下され、被告全員が無罪になった。9年前、いわゆる黄シャツ派のデモ隊に対して警察隊が催涙ガス弾等を使用して制圧を試み、デモ隊側に多数の死傷者が出た。当時首相だったソムチャイ氏と警察関係者が、「職務を不正に遂行した」と裁判にかけられていたのである。(無罪になった被告のうち、事件時に国家警察司令官だったペチャラワート・ウォンサワン氏は、プラウィット現国防大臣の実弟である。)
タクシン氏の義弟であるソムチャイ氏は、スダラット氏と並ぶタイ貢献党の有力な党首候補で、有罪判決が出ていたら、今後の政局に大きな影響がでていただろうとマティチョン誌は指摘している。
さて、25日に判決を迎えるジンラック氏だが、国民の間での人気はまだまだ高いようだ。クーデターで首相の座を追われた後、ジンラック氏のフェイスブックフォロワー数が急増し、600万件を超えた。これはライバル政党、民主党アピシット元首相を大きく上回る数字である。(クーデター前は、逆にアピシット氏がジンラック氏をフォロワー数で引き離していた)
ジンラック氏個人への同情者の多さと、直近の選挙でタイ貢献党が1000万票を獲得したことを考え合わせると、ジンラック元首相に厳しい判決が出た場合の支持者の反応は、軍政側も予断を許せなものになるだろう、とマティチョン誌は分析している。
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