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連作唱歌「子供の情景」~⑬「ぼくの寝床」
- Plaadipbkk
- 2017年9月26日
- 読了時間: 2分
13.僕の寝床
ここでなら僕は王様の気分だぞと いいにおいのする毛布で眠る
いいでしょう。このブユイヤールの絵。絵画というよりイラストみたいだな。美術館で一目見て気に入った。 私は、「気持ちよさそうな寝床だなあ」と思ったのだが、ちょっと検索してみると、とうやら病気の子供を描いたらしい。そうは見えないんだけど。
あと、子供の顔が黒いのはなぜかとか、頭の上にあるTの文字みたいなのは、いったい何なのか・・・とか、いろいろ不思議なところがある絵ではある。
立てた膝で毛布が盛り上がっている場所など見ると、結構背が高いですね、この男の子は。年齢的には、中学2、3年くらいかな。 人間、眠れなくなるくらいつらいことはないね。
最終的な逃避先が失われちゃうわけだから。逆に言えば、人間、眠れさえすればなんとかなる。願望充足の夢という強い見方もあるし。 中島敦(高校時代、この人の山月記か李陵だかを教科書で読んで以来のファン、だから頻繁に解題に登場する)の短編で、南洋の土人の夢の話がある。ある日を境に、夢の中で、奴隷と主人の役割が入れ替わるようになるのですな。すると、夢で主人になる奴隷はだんだん幸せそうに太りはじめ、夢の中で奴隷の身分となる主人は、げっそりと痩せてしまう・・・そいういう話。
人間、よく眠れさえすれば、現実からの逃避は可能なのである。
“No problem is so big or so complicated that it can't be run away from!” (Linus van Pelt)
と、最後のメッセージを少年少女と老人たちに送って、この長い解題的世間話、世間話風解題を終わりにいたします。(笑)
世間話的解題 その十三
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