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連作唱歌「可愛いスーちゃん」 3.阿田(あでん)人語を忘れ狼狽える

  • Plaadipbkk
  • 2017年8月27日
  • 読了時間: 1分

阿伝は、鴉になっていい気持ちで過ごしてたが、ふと自分が人間の言葉を忘れかけていることに愕然となり怖くなる。もう鴉になっちゃえばいいのに、とも思うのだが、それだとそこで終わってしまう。

人でなくなることへの恐怖は、高校の時読んだ、中島敦の「山月記」に描いてあった。虎になってしまった主人公は、ある晩、山中で旧友を襲いそうになる。かろうじて思いとどまった「虎男」は友人に、「自分が人の心を持ちづづけられるのも、もう長くはないであろう」と涙ながらに語りかけ、辞世の詩かなんかを読むのですな。

単純な話、虎になってしまえば、そのような人間的苦悩を悩まずともすむわけだが、人間、そう簡単に割り切れないのだな。例えば、アルツハイマーの初期の兆候を認識した時など、やはり感じるのは、自分を人間足らしめているもの(記憶)を失うことへの恐怖だろう。阿田も同じような恐怖を感じたわけだ。

では、ここで、恒例の一首

「対人関係に難あり」と言われて久し  人語(じんご)など忘れて今はかあかあと鳴く

ま、こういう風に割り切ることができれば、気楽なもんだろうとも思う。

おそまつ ではでは

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